ごぶさたです

 すみません。結局最初に2冊紹介してそのままになってしまってました。この一年と四ヶ月の間に楽天からkoboが発売され、日本のアマゾンからKindleが発売され、ぼちぼちと和書の新刊も世界で通用するファイル形式で読めるようになってきました。個人的には日本のアマゾンから洋書のKindle版が買えるようになったのが大きいです。洋雑誌も扱うようになってくれればいいのですが。
 わたしもPaper Whiteを購入しましたが、ほんの少しだけページめくりが遅いのですね。あと、画面に触ると勝手にページがめくれてしまうのが難点。PWを申し込むときに思うところがあって、amazon.comで一番シンプルなKindleを購入したのですが、これは正解でした。jpのアカウントに紐付けすることはできませんが、Weightless Booksや、Bean Ebooks、そのほか出版社から直販の電子本を読むときに重宝しそうです。
 
 電子本だけでなく、Kindleにウェブの記事を送って読む、ということもしていますが、これまではChrome拡張機能のSend to Kindleというのを使っていましたが、TwitterでPush to Kindleという拡張機能を教えて貰い、これで記事の種類によって送るデバイスを分けることができるようになりました(基本的に、小説はcomのデバイスへ、情報系はjpのデバイスへ)。長い記事をPCで読むのがしんどいのでこの拡張機能はとても便利です。ほかのブラウザにも対応しているようですので、興味のある方は検索して探してみてください。

 昨年はほかに、iPhoneiPadも購入しました。iPhoneで本を読むことはあまりないですが、Kindleに送った記事を読むのには重宝しています。iPadwifiモデルです。こちらは、ほぼおもちゃ状態ですが、KindleでもiBooksでも日本語で書き込みができるのがいいですね。Bluetoothのキーボードを購入して、テキストの入力につかっています。
 KindleFireやiPadminiにも興味はありますが、そんなにあってもきっと使わないしその前にPCをなんとかしないと。

 去年読んだ本の感想なども記録しておかないといけないし、今年は更新するようにがんばりますのでどうぞよろしく。

Kindle Paperwhite Wi-Fi (第5世代)

Kindle Paperwhite Wi-Fi (第5世代)

Kindle Fire HD 16GB タブレット(第2世代)

Kindle Fire HD 16GB タブレット(第2世代)

The Hundred Thousand of Kingdoms

by N.K.Jemisin

 読み終えたのはちょっと前なのですが、早川書房から翻訳が出るという話を聞いてしばらく感想文アップを控えていました。早川公式サイトに発売日が掲載されSFマガジン11月号の10月の新刊情報にも載っていたので簡単に紹介したいと思います。

                            • -

 この本を手に取ったのはあちらこちらのレビュウサイトで好評を得ていたから。ネビュラ賞ヒューゴー賞の候補にもなっており、「レイシズム、マイノリティ、ジェンダーなどの社会的問題をうまく盛り込んだうえにロマンスもあり素晴らしい作品」という評価が気になって、ほぼ4年ぶりに原書で長篇を読んだのだった。
 実を言うと、読んですぐあとには各所で取り上げられるほどの感動を得られなかった。ローカス賞の第一位となったときには、なんでこれが一番なんだろうか、とさえ思った。だが、最近翻訳出版された中世風異世界ファンタジイを読んでいてこの作品はそれらにはない一本の太い筋のようなものがあるように感じた。原書の書影を見ていただければわかるように、本書である第一巻と二巻目では大きな変化がある。第二巻のタイトルはThe Broken Kingdom。三部作の最終巻は来月の27日に原書が発売される予定でそのタイトルはThe Kingdom of Gods
。それぞれ主人公も変わっていくようでこれは三冊を読み終えないと評価は下せないのではないか、と今は思っている。

                          • -

(簡単なあらすじ)
 主人公イェインは十万王国と呼ばれる連邦の北方にある辺境国の若き女首長。母は連邦の宗主国アラメリの首長デカルタの娘で本来ならばその座を継ぐはずであったが、国と宗主の座を捨て辺境の国へと嫁いだのだった。イェインが19歳になったある日、デカルタから首都に来るように命じられる。そして、二人の従兄弟たちとともに宗主の座をめぐる争いに参加させられることになる。
 アラメリの首都スカイには、生粋のアラメリの民だけが支配できる神々がいた。古えの神々の闘いで光の神イテンパスに刃向かい破れた神々が、イテンパスを崇拝するアラメリの民に仕えているのだと伝えられている。だが、スカイに到着した夜、イェインは神々に捉えられる。スカイに閉じ込められ人間への使役を強制されているという神々の意図は? イェインの運命は?

 読み終わって最初に感じたのは、物足りない、だった。先にいろんなレビュウを読んでしまい期待が高かったのもまずかったのだろう。登場人物や魔術的なもの、天空高くそびえる都市(英語版の表紙がそれ)など、アイテムはそれぞれに魅力的だし興味深いのだが、語りが冗長な感じがした。この本を読む前にジェミシンの短篇をいくつか読んでいて、昨年のネビュラ賞ヒューゴー賞短編部門の候補となった“Non-Zero Probabilities”(SFマガジン12月号に訳載予定!) や 昨年発表された“On the Banks of the River Lex”は、ともにその語りの雰囲気に魅力を感じていたのだが、本作にはその語りが十分には発揮されていないのではと感じた。それから、これは最近のファンタジーには欠かせない要素になってきているのかもしれない性的な描写が中途半端に感じられたのだが、ここは個人の好みの問題。もっと深くそこを描けばもっとインパクトがあるのに!
 あちこちの(あちらの)レビュウでよく言及されていた民族問題、ジェンダー問題については、そこまで大きく踏み込んでいるようには感じられなかったが、この物語の核の一部となっているのは確かだしその方面への作者の強い意志も感じられた(ここが、先に述べた「太い筋」なのかもしれない)。登場人物の中ではイェインの母親にわたしは強く惹かれている。彼女の物語もいつか語られないだろうか。

The Hundred Thousand Kingdoms: Book 1 of the Inheritance Trilogy

The Hundred Thousand Kingdoms: Book 1 of the Inheritance Trilogy

The Broken Kingdoms (The Inheritance Trilogy)

The Broken Kingdoms (The Inheritance Trilogy)

The Kingdom of Gods (The Inheritance Trilogy)

The Kingdom of Gods (The Inheritance Trilogy)

Mechanique: A Tale of the Circus Tresaulti

by Genevieve Valentine
Prime Books (April 23, 2011)
amazon.jp
amazon.com(Kindle)


 かつて大きな戦争があり、その後は戦争が起きては政府の人が変わっていく、そんなある時代のある場所に女座長が率いるサーカスの一座があった、ひとつの町に長くは滞在せずに移動を続けていくこの一座には秘密があった。それはほとんどの座員が機械じかけ。座長であるBOSSの力でそれぞれの特性にあわせて体に金属や機械が埋め込まれているのだ。長い時間を一緒に過ごしているにもかかわらず、座員同士の結束はそんなに固くはない。それぞれが、それぞれの過去を持ち、それぞれの思いをもってやってきたのだ。彼らに共通するのはBOSSへの帰属意識のみともいえる。あるとき、「政府の人」がやってきてBOSSを連れ去っていった。「政府の人」がサーカスの秘密をしれば座員全員が囚われ、政府の奴隷となることは間違いない。座員の意見は二分され、危機が訪れる。

 320ページというさほど長くはない一冊に82章からなる短いエピソードが詰め込まれている。前半は主に、座員たちのことについて、一座に入ってからのことや入る前のことが語られるのだが、そこにほんの少しだけ後半に繋がる背景も入り、また結末に繋がる謎も散りばめられている。章が移るたびに時制や視点が変わるので最初はちょっと混乱するが慣れてくるとこれが快感にかわる。そして、後半になると物語が大きく動き出し、一気に引きこまれていく。

 生を捨てること、人と繋がされること、あきらめること、決断すること、戦うこと、失うこと、そして、生きること、人と繋がること、あきらめないこと、小さくても希望はあること、永遠の中にも成長はあること、さまざまな要素が凝縮されているこの作品はGenevieve Valtentineの処女長篇。作者はClarkesworld、Strange Horizons、Fantasy Magazineをはじめとしたオンライン雑誌に多くの短篇を発表し、2009年には“Light on the Water,” が世界幻想文学大賞の候補作となっている。

Mechanique: A Tale of the Circus Tresaulti

Mechanique: A Tale of the Circus Tresaulti